鉄道・バス
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鉄道・バス
本業以外の多角化を積極的に推進しているのが目立つ私鉄大手・JR。輸送力・正確さ・クリーン度で、国民の足として高い公益性をもつ鉄道事業は、公益事業という性格上、鉄道事業は免許制度により地域独占が認められる。
しかし、サービスや標準運賃などについては公的規制が加えられる。営業収入の基盤となる運賃は運輸大臣の許可を要し、収益が安定的に保証されている反面、実際には運賃が物価上昇に対して後追い的になっており、しばしば赤字となるのも避けられない。
そこで大手私鉄は早くから副業に力を入れ、経営の安定を図ってきた。不動産事業をはじめバス・タクシー、百貨店やスーパー、遊園地、スポーツ施設、さらにはプロ野球の球団経営など、その事業展開は実に多種多彩。また最近では、CATVをはじめとする情報通信事業への積極的な進出が目立っている。
一方、1987年に分割・民営化したJR(旧国鉄)も、一等地の広大な土地資産を背景とした超高層ビル建設、旅行・レジャー事業、宅地開発、リゾート開発など大規模な事業展開に着手。その結果、上場したJR東日本、JR西日本とJR東海の本州3社が増収・増益を計上したのに対して、他のJR4社は苦戦を強いられ、経営体力の格差が目立つ。この問題は、民営化によって先送りされてきた28兆円にも上る旧国鉄長期債務問題とも絡み、今後国民の負担が解消されるか否か、その経営努力に大きな注目が集まっている。