農業
水産業

   
水産業
ヘルシーブームの波に乗り、調子が上向き加減になってきている水産業界。かつては世界一の生産量を誇った日本の水産業も、若者の魚離れやグルメ化による海外高級魚志向、商業捕鯨の禁止、周辺諸国との漁業協定などにより衰退の一途をたどった。
そこで水産各社は、進出・出資を市況に左右されやすい漁撈分野(一次産業)から、付加価値の高い加工・冷凍分野や卸業へシフト。加工・冷凍技術を生かし、魚介類以外も扱う総合食品業へと事業拡張するケースが増加した。さらに、大幅なリストラや海外工場建設を推進するなど起死回生をはかり、利益を回復させた事業者も多い。なかでも、ニチレイ、東洋水産、加ト吉などは、冷蔵・冷凍・真空保存技術とコンテナ化の物流革命により巨大企業へと成長。また、東京中央卸売市場や大阪中央卸売市場など、大消費地を抱えた港湾には魚介類の卸専業者が形成されて、年商1000億円を超える業者がひしめいている。
こうした動きに加え、近年では食品業界にヘルシーブームの波が押し寄せたことから、本業である魚介類も見直され始めた。魚介類が高タンパク質・低カロリーであること、DHAやEPA、キトサンなど優れた栄養素を持っていることなどが、関係者や一般消費者の大きな関心を呼んでいるのだ
。単なる食物としてでなく、医療やバイオ技術などの方面にも有用と言われており、今後の動向が期待される。