電力
石油
ガス
その他エネルギー

   
ガス
規制緩和により、事業領域は世界スケールに拡大してきたガス業界も、電力産業と同様、公益事業であるためにさまざまな規制と保護下にあった。ただ電力と異なるのは、大規模な都市ガス事業者から小規模の業者まで、事業者が乱立していることである。
なぜなら、戦時中、政府主導で全国8ブロックへの統合が試みられたが、思うように進まなかったのがその一因。とはいえ、地域独占が認められていることに変わりはなく、大都市圏を地盤とする東京ガス・大阪ガス・東邦ガス・西部ガスの4社およびその系列企業が、総供給量の8割以上のシェアを占めている。
そして近年、規制緩和の動きが激化しているのも、これまた電力業界と同様である。1995年の改正ガス事業法により、大口ガス需要家への供給区域外事業者の参入が自由化し、価格も原則自由になった。電力会社や鉄鋼メーカーなどは、もともと燃料にガスを使用してきたが、ここに石油会社も加わり、新エネルギーとの激しい競争が始まっている。LPG(液化天然ガス)についても96年に許可から登録制になり、他業界からの参入により業界の再編・淘汰が進むものと予想される。
さらに、国内の安定供給を優先して抑制されてきたガス会社の海外進出が96年に認められたことで、サハリン・ベトナムなどの天然ガス開発やパイプライン建設など、ガス大手の事業フィールドは着々と世界規模に拡大しつつある。